昨年逝去された、元沖縄県歴教協委員長のご自宅の蔵書目録を、5月末の下見も含めて作成中です。こつこつと週末にご自宅に伺っています。
※本写真の掲載はご家族の許諾を得ております。
沖縄県における高校教育の現場に平和教育を最初期に導入された方で、30棚以上の書架や、増設した部屋周囲の壁の書棚には、沖縄戦や基地問題に関する蔵書や資料ファイル(学習メモや新聞切り抜き)で敷き詰められています。
この作業には、沖縄歴教協メンバーや自治体教育員会など総勢15名程度が関わています。私自身は、2015年に琉大着任してから沖縄県歴教協に加わり、2016年度の沖縄大会では、実行委員メンバーの一員としてささやかながら故人と交流する機会がありました。私なんかは沖縄に根っこを持たない人間で、偉そうに関係性をアピールする立場にはないのですが、それでも、この作業を通じて「平和教育を作る、紡ぐ、つなぐ」ことを大切にされたことを、ファイル群からひしひしと感じ取れます。その「つなぐ」場の末端に身を置くことを誇らしく思うとともに責任も感じています。
目録づくりの次はどうすべきか(蔵書やファイル群の保存をどうするか)を考えないといけませんが、まずは目録づくりをなんとか年内には終わらせたいと思っています。
☆
本土出身の人間の「居場所づくり」に平和教育を利用するな!というおしかりも聞こえてきそうです。それに対して反論する術を私は持っておりません。沖縄を抑圧してきた植民者としての原罪を背負い続けるしか方法はありません。そして、私ができることは専門分野の研究教育活動を積み重ねて、少しでも多くの活字を残し、誰かの思考の、誰かの論文の「脚注」のなかでひっそりとそれでいて長く生き続けることができるよう努力するほかありません。そしてその営みによって、軍事化そのものを克服する何らかの力になればと思う次第です。そのささやかな作業のひとつとして、琉球新報に書評を書きました。ぜひ以下の書物をご一読ください。
『続・沖縄戦を知る事典 戦場になった町や村』 日常の軍事化、破壊の過程 https://t.co/0tirNfjn14
— 琉球新報 (@ryukyushimpo) 2024年8月11日