We shall overcome- 沖縄と世界史-

琉球大学西洋近現代史(池上大祐)の教育・研究活動ブログです。アメリカと太平洋島嶼地域との関係について、(脱)・(新)・(核の)植民地主義の観点から研究しています。また、沖縄で西洋史・世界史を学ぶ意義・方法について歴史教育実践を通じて追求していく予定です。なお本ブログの記事は、あくまでわたくし個人の意見であり、所属先の方針や考えを代表するものではありません。

両輪としての「学術研究」と「実践研究」

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昨日は沖縄県歴教協定例会に参加し、私も実践報告しました。共通教育科目「平和論」での私の担当分(2コマ分)の講義テーマが「核兵器の歴史」。講義内容を①原爆開発、②原爆投下目標決定、③原爆神話、④核実験、⑤スミソニアン原爆展示論争、⑥沖縄と核で構成し、ミニレポートで「講義内容を踏まえて、沖縄県内における核(兵器)の歴史についての展示案を構想してください」という課題を出しました。この方法のほうが、講義内容を要約せよという課題よりも、学生の核に対する認識や思考のプロセスが読み取れると思ったからです。

今回はそのレポート分析をやってみました(詳細は、高大連携研教材共有サイトにまたアップしようと思います)。ひとことで言えば、エンタメ重視の展示方法に依拠するほどコンテンツ(内容)が薄くなる、という傾向です。また、博物館=観光地と認識しているのもあり、博物館との接点がそもそもない学生も多いのかなぁとも感じました。

こうした、特定のテーマを課すことで思考力を図る方法を教育業界用語で「追い込み方」(精神的に追い込むとかもちろんそういう意味ではなくて)というらしく、自分がやっている実践をどう言えばいいか、言葉が見つからなかった身としては、ストンと腑に落ちた表現でした。よりよい工夫を考えてみたいです。

他、知花昌一さんのライフヒストリーについての教材を東アジア共通教材(韓国と台湾の大学で授業実践)として位置付けようとする挑戦的な実践研究や、難民をめぐる日本政府の対応にフォーカスした地理実践も拝聴できて勉強になりました。

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史料にもとづいて事実探求を追い求める「学術研究」と、最新の学術研究の成果なども踏まえ教育現場で教材開発し、学びの効果を探求する「実践研究」の両方を担っていると言えなくもないですが、学問的訓練を受けてきたのは前者で、所属先でも一義的には前者がメインのやるべき仕事になります。

それでも、「歴史教育は歴史研究の下請けなのか」というよく見かける問いには、最近では「歴史実践」という言葉で包摂し、その対等性を強調する見方があるように、別にどちらが上かというのではなく、いわば両輪として(同僚の日本史の先生もいつもおっしゃる)、同じ歴史実践者として、今後も学び合えたら、と思っています。

(ただ、「教育学」はやっぱり専門外なので、どう考えるべきかよくわからないのも確かです。)