We shall overcome ☆沖縄からのグローカルヒストリー☆

琉球大学西洋近現代史研究室を担当する池上大祐の教育・研究活動ブログです。アメリカと太平洋島嶼地域との関係について、(脱)・(新)・(核の)植民地主義の観点から研究しています。また、沖縄で西洋史やグローカルヒストリーを学ぶ意義・方法について歴史教育実践を通じて追求していく予定です。なお本ブログの記事は、あくまでわたくし個人の意見であり、所属先の方針や考えを代表するものではありません。

西洋史近現代史ゼミ研修旅行(1)ー伊江島巡検

9月9日から11日まで、ゼミ研修で、伊江島・名護を巡ってきました。特に沖縄戦・土地闘争・平和教育をキーワードとして、さまざまな資料館・戦跡を見てきました。まず10日に訪問した伊江島から紹介します。

 

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これは伊江島西部にある米軍補助飛行場跡です。元滑走路がででんと残っています。この左側が現在も米軍基地となっています。

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こんな感じです。フェンス沿いに道がずっとあるからぐるっと戻れると思って直進したら行き止まりでした…。車体の大きいノアでしたがなんとか切り返して引き返すことができました。

なおこのあたりは、阿波根昌鴻が建設しようとした農場用地がある場所で、土地闘争の最前線だったところでもあります。

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それを象徴するのが、この「団結道場」です。

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ちょうど今年の春に保存工事が終わったそうで、以前見たときよりも、綺麗になっていました。陳情規定は、今の辺野古でのたたかいに引き継がれています。

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ゼミ生も団結してみました!

 

伊江島は、沖縄戦の過酷な戦場にもなりました。

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これは、前述の米軍基地フェンス近くにひっそりと佇む「第502特設警備工兵隊出撃之地」の記念碑です。警備兵までもが「出撃」したということが戦争の過酷さを物語っているように思えます。

 

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ここは伊江島南西部のニィヤティガマ。いくつか祭壇もある民俗文化あふれる場所ですが、ここは戦時中は防空壕として使われたことから「千人ガマ」とも呼ばれています。

 

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ここは伊江島東部のゴルフ場近くのアハシャガマ。村民たちが戦争中に自決した場所です。以前は中に入れた記憶がありますが、今は剥落の危険があるとのことで中は立ち入り禁止になっていました。

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ちなみにガマの近くで咲くこの花の名前、何でしょうか。色合いが鮮やか過ぎない落ち着いた色合いに惹かれて撮影してみました。

 

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伊江島における戦没者は、伊江中学校となりの「芳魂の塔」で慰霊されています。先の戦没者を名を刻んだ黒い御影石もあります。

 

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沖縄戦で亡くなった米軍従軍記者アーニー・パイルの碑。伊江港近くにあります。毎年、亡くなった日の4月18日に一番近い日曜日に、米軍退役軍人関係者や伊江村長も参加する慰霊祭が開かれているそうです。

 

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伊江港ターミナルには郷土資料室も併設され、1948年のLCT爆発事故に関する資料展示もなされています。その慰霊碑も近くに建立されています。

 

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伊江島巡検のメインイベントは何と言っても「ヌチドゥタカラの家」の訪問です。阿波根昌鴻さんの活動をサポートされてきた謝花悦子さんの講話を拝聴し、土地に根ざして生きること、考えることの重みを改めて感じました。

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訪問前日の9日に、ホテルの朝食会場をお借りして、ゼミを行い、阿波根昌鴻の経歴・活動、アーニー・パイルの経歴・活動、沖縄歴教協『歴史と実践』における沖縄戦基地問題の実践タイトル抜粋についての学生の調査経過報告について議論してきましたので、ある程度の予備知識を準備しておいて良かったです。ゼミ生たちは、これから研究を深めていく上で、謝花さんからいただいた話を何度も振り返ることでしょう。

 

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食事も美味しゅうございました!上は伊江牛を使った牛汁そば定食で、下は伊江島産牛乳を使ったアイス。

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そうした伊江島農業を支える地下ダムについてのパネルが、観光名所でもある「湧出」にありました。景観も良かったです。天気に恵まれました!

 

(おまけ)

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ちなみにアイスや貝殻の手芸品を売ってる店舗建物の壁にかの作品のイラストが。やっぱり、私たちは「土から離れては生きられない」のですね。

 

西洋史近現代史ゼミ研修旅行(2)ー名護巡検に続く。