We shall overcome ☆沖縄からのグローカルヒストリー☆

琉球大学西洋近現代史研究室を担当する池上大祐の教育・研究活動ブログです。アメリカと太平洋島嶼地域との関係について、(脱)・(新)・(核の)植民地主義の観点から研究しています。また、沖縄で西洋史やグローカルヒストリーを学ぶ意義・方法について歴史教育実践を通じて追求していく予定です。なお本ブログの記事は、あくまでわたくし個人の意見であり、所属先の方針や考えを代表するものではありません。

A・G・ホプキンズ先生との学術交流

5月15日から22日まで、イギリス帝国史研究の大家A・G・ホプキンズ先生が沖縄に滞在するあたり、そのホスト役をどうにかこうにか担当しました。本来なら2020年秋に実現していたはずの企画でしたが、COVID-19パンデミックの影響で幾度となく延期になり、やっと今月に実現しました。このような貴重な機会をくださった阪大の秋田先生や、2回の研究会開催に向けて色々とサポートしてくださった方、参加してくださった方、お心遣いくださった方みなさんに心から感謝申し上げます。

まず17日(火)に琉大島嶼研主催として、Insular Empireを考えるという趣旨のミニセミナーを開催しました。想定よりも参加者が少なく胃が痛くて仕方なかったのですが、急遽呼びかけた院生や個別にお声かけした西洋経済史や日米関係史の先生方も来てくださり、本当に助かりました。司会は私が担当したのですが、オール英語の場でしたので、事前に英語の台本を用意してなんとか回しました。DeepLを初めて本格的に使ったのですが本当に助けられました。

21日(土)は、琉球沖縄歴史学会5月例会として企画し、「グローバルヒストリーと帝国」をテーマに議論いたしました。当日までホプキンズ先生の報告内容が分からないなか、コメンテイターの藤波潔先生や通訳の方には丁寧に対応してくださり本当にありがたかったです。

ただ、全てうまくいったわけではなく、いろんな課題や反省点も残りました。第一に、事前に報告レジュメないしスライドをご用意いただくようお願いしていたつもりが、うまく伝えることができておらず、研究会の運用方法を急遽アレンジし直すことになってしまったことです。事前にレジュメ、スライドないしペーパーを作り込む、という報告スタイルを前提にしすぎていたのかもしれません。

第二に、基本的な打ち合わせ、企画立案、事前準備の段取りなどを一人で引き受けすぎたこと。結果的に私が急遽運用方法の変更にも対応するための作業などで大学を離れられないなか、ホプキンズ先生の沖縄県内の史跡案内を研究仲間や院ゼミ生が引き受けてくださいました。これは本当に感謝しかありません🥲。もっとチームを組んで、研究会企画と沖縄県内の案内企画を包括させた役割分担を組むべきした。

第三に、そもそも私の英会話能力が貧弱であることから、英語が堪能な同僚を安易に「逐次通訳」として当てにしすぎて無茶振りをしてしまったこと。結果今回、通訳専門業者の方に逐次通訳を私の個人教育研究経費(結局大学内のどこにも予算はありませんでした)でお願いしたのですが、本当に大変な業務で、通訳にも相当な専門技術が必要であることを肌で感じました。私自身がもっと英会話能力を身につければ、少なくともアメリカ史や西洋近現代史については自分である程度意味を汲み取って参加者に伝えられるくらいのスキルは身につけないとまずいと痛感しました。

第四に、ホプキンズ先生への服装の助言を疎かにしていたこと。ネクタイをつけるべきなのか、とか普段着で良いのかとかを事前に説明してほしかったとご本人からご指摘いただきました…。ちょうどその時にご一緒していた通訳の方が、かりゆしの説明をしてくださって、私にこそっと、こういうアテンドの際には、これが沖縄での正装です、とかりゆしプレゼントする手もありましたね、と耳打ちしてくださり、全くその辺りが無頓着過ぎたと反省させられました。

第五に、そもそも一部休講にしなければ、運用自体が難しかったこと。大学院の講義や学部講義の一部を休講にして対応せざるをえませんしたが、私にもっと英語力があれば、そしてもっと事前にホプキンズ先生と打ち合わせをしておけば、例えば自分の講義に来ていただくとか、もあり得たかもしれません。そもそもこの来日/来沖企画の目的が何かを、うまく理解できないまま、お互いどこまでお願いして良いものか、遠慮し合ってた面もありました。ただ、現在の大学内の状況を見るに、あまりにも多くの事務的なことに忙殺されますし、遠隔と対面の境界線をずっと歩かされる不安定な状況も続いていて、みんな忙しくなってしまっています。春休みに有志で読書会やろう!というのが3年前にはできてたことをかんがえると、本当に隔世の感があるなぁとため息しか出てきません。

正直、自分の能力の無さに絶望しかけたこともあって本当に疲れましたが、今回の経験を通じて、自分に英会話能力があれば乗り越えられていたこともあったことに気づけたので、今週から毎朝、グアムや米本土の新聞記事1〜2のトピックの音読練習を開始しました。とにかく英会話能力の向上が至上命題。これまで色々引き受けすぎたので、今後は当面ひっそりと自分に足りないものを補うことに集中していたいと思います。  

 ⭐️

昨日、誕生日でした。

院ゼミ生がサプライズで、僕が好きそうなオススメ映画DVDをそれぞれ選んでくれました!研究室に朝来てくれて、それで自分の誕生日に気付きました。そもそも誕生日を知ってくださっていたことや、こうしたお心遣いに改めて感謝いたします。ありがとー!

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