11月3、4日に3年次を中心としたゼミ研修に行ってきました。今年の共同研究のテーマである海洋博の歴史に触れるために、初日は海洋博公園内の海洋文化館、熱帯ドーム、水族館をみてまわりました。
こちらは入口に展示されている1970年に復元されたタヒチのダブルカヌー。75年海洋博でも展示されたそうです(※説明パネルの写真を撮り忘れたので後日文献等で再確認します💦)。
太平洋の歴史について長年講義していますが、あくまで私の専門分野が西洋史ということで、どうしても西洋との接触を軸に扱いがちになります。この展示館では、太平洋島嶼の海洋文化という視点から先史時代から現代まで学ぶことができます。文化人類学や民俗学のノウハウも必要になりますのでより一層勉強せねばなりません。
こちらは「夕陽の広場」にあるアクアパーク。子どもたち用のアスレチック場です。このデザインは海洋博開催当時にここからの沖合に設置された「アクアポリス」を元にしています。老朽化によって2000年に売却され、今は海底にその痕跡となる杭が残ってるだけらしいのですが、夏草ならぬ、夏海(この日の気温は30度で暑かった)の「夢のあと」を感じてしまいます(ちなみに大城立裕の作品に『華々しき宴のあと』があることをゼミ生のレジュメで学びました)。このデザインにも意味や背景があるので、簡単な説明版があれば、と思いました。
熱帯ドリームセンターは蘭をメインとしつつ、亜熱帯の植物群を見ることができます。遠見台も含めてちょっとラピュタ感も感じました。この区域は海洋博当時は「科学・技術クラスター」でアメリカ館やソ連館があった場所でしたがその痕跡を感じ取れるものは残念ながらありませんでした。
またこういうフィールドワークでは地元の図書館に行くことが大事なので、伊江島村立図書館及び本部町立図書館の郷土史コーナーや新聞切り抜きコーナーで関連する情報がないかざっと調べました。新聞資料や自治体史、辞典類の重要さを学生たちが改めて気づいてくれたようで何よりでした。本部町立博物館の方からは、本部町の観光協会に行くと詳しい話が聞けるかもとの助言をいただきましたので、もっと研究が深まった段階で訪問できればと思っています。
開催当時から「自爆剤」という表現に代表されるように特に沖縄での評価は厳しいようでした。「観光」や「海」のイメージが沖縄に付与されることと同時に、戦争の経験ないし米軍基地の存在感を希釈させてしまう効果も持ったとの分析も先行研究上でなされているようです。ただ、同じ太平洋という海洋文化圏にある琉球列島と他の島々との繋がりの系譜のなかで、海洋博という交流経験はやはり無視はできないのかなぁとも思えます。戦争や戦後核実験の傷跡ももつ小さな太平洋の島々の生き方、文化的アイデンティティの多様性と共通性を見出すことで、翻弄されがちな軍事主義(傲慢な大義名分をぶら下げて)を掲げる大国の論理に少しでも抗っていける道筋を照らしていきたいと、伊江島の反戦平和資料館にも久々訪問して、決意新たにしました。
学生たちがどう感じ取ってくれたかは、今後の彼らの研究活動を通じて見ていきたいと思います。
(おまけ)今回泊まったリゾートホテルブエナビスタ今帰仁のすぐ隣に「慰霊塔」がありました。説明版も建立日の刻印も何もないので、後日調べてみます。
⭐️
今回の研修は、2、3年次が履修する「世界史実践演習」の一環として初めて実施し、現時点で3年次からのゼミ配属を希望する2年次にも帯同してもらいました。共同研究を進める3年次の背中をみて、「研究すること」そのものを少しだけでも体験したと思うのでぜひとも来年度に活かして欲しいです。また終始、楽しい雰囲気を積極的に作ってくれた学生たちには本当に感謝しています!ブラックシャック、面白かった!
3年次が手配してくれたホテル近くの夕食のシーン!アグー豚と県産野菜のしゃぶしゃぶ、美味しかったです♪
なお今回は私が借りたレンタカーの他、院生の方にも車を出してもらいました。修論等で忙しい中、ありがたかったです!運転はやっぱり気が張るので帰宅後は疲れが一気にきました💦今日は1日骨休みです。