We shall overcome ☆沖縄からのグローカルヒストリー☆

琉球大学西洋近現代史研究室を担当する池上大祐の教育・研究活動ブログです。アメリカと太平洋島嶼地域との関係について、(脱)・(新)・(核の)植民地主義の観点から研究しています。また、沖縄で西洋史やグローカルヒストリーを学ぶ意義・方法について歴史教育実践を通じて追求していく予定です。なお本ブログの記事は、あくまでわたくし個人の意見であり、所属先の方針や考えを代表するものではありません。

グアム滞在ー研究編

今回の調査先はグアム大学マイクロネシア地域研究センター(MARC)。グアムでしか手に取ることができない地元新聞Pacific Daily News(旧Guam Daily News、以下PDN)のバックナンバーの記事(特に1980年代)を徹底調査することを目的としました。理由は、先月の長期出張東京編で、立教大学共生社会研究センターで収集した日本での反公害運動・反核運動についての記事を集める中で、PDNからの転載や翻訳が散見されたことから、これはグアムでもしっかり調査すべきだと痛感したからです。

したがって、集める記事は、日本による核廃棄物の太平洋への処理問題、グアムにおける汚染物質廃棄の問題を中心に、周辺島嶼地域も含む政治的地位の議論や、太平洋戦争記念公園の整備についても対象にしました。ひと月で5、6の記事があればいいかなぁと思っていたら、ほぼ毎日重要な記事があることがわかって、1980年の丸一年を終えるだけでほぼ5日要し、コピー枚数が500枚ほどに達してしまいました(MARCでは資料の写真撮影禁止)💦

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金土日が閉館日であることと、車がないと雨天では移動が大変であることから、1981年以降のバックナンバーの収集は断念し、次回訪問時に再トライしたいと思います(次回はレンタカー借りるつもり)。あとは宿から徒歩圏内のハガニア公立図書館やそのまま宿で資料整理と原稿執筆を進めました。

今抱えている原稿が、「グアムにおけるアジア系アメリカ」というテーマ。どういう切り口でまとめるかまだまだ固まってないのですが、グアムの日系人についての情報(過去の観光ガイド誌に意外と重要な記事があります)を集めたり、「新一世、新二世」と呼ばれる日本人についての最新の研究成果を読んだりしていますが、下記写真の文献でも述べられてるように本当に研究がないんですよね…。

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数少ない情報の中で、米軍のグアム再占領後に、日本兵や戦前からいる日本人の収容所がイーパオビーチ(タムニン区域)にあったということを知り、試しに行ってみましたが、それに関する記念碑や銘板はありませんでした。今は観光客が賑わうただのビーチでした。

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そもそもグアム(を含むマリアナ諸島)は、長くチャモロの人々の土地であり「アジア」/「アメリカ」の存在自体どう考えるか、という視点を欠くこともできません。どう書くべきかギリギリまで悩むことになりそうです。

 ⭐️

明日からは初めてのサイパン滞在(15日は日帰りでテニアン)です。詳細は「北マリアナ滞在記」としてまた後日アップしようと思います!