We shall overcome ☆沖縄からのグローカルヒストリー☆

琉球大学西洋近現代史研究室を担当する池上大祐の教育・研究活動ブログです。アメリカと太平洋島嶼地域との関係について、(脱)・(新)・(核の)植民地主義の観点から研究しています。また、沖縄で西洋史やグローカルヒストリーを学ぶ意義・方法について歴史教育実践を通じて追求していく予定です。なお本ブログの記事は、あくまでわたくし個人の意見であり、所属先の方針や考えを代表するものではありません。

アメリカ滞在記、2018年夏

8月21日から9月4日までワシントンD.C.に滞在し、アメリ国立公文書館で史料調査を進めておりました。今回は1940年代の米海軍太平洋艦隊司令部を紐解き、グアムやマリアナ諸島、他旧日本委任統治領に対する軍政統治関連史料を閲覧・撮影してきました。グアム軍政統治に関する月報も見つかり、なんとか収穫はありました。ただ同じ史料の複写版が、沖縄県公文書館にも所蔵されていることが滞在中に分かり、事前調査の大切さを痛感しました…。

また、太平洋島嶼地域関連の海軍史料は、サンフランシスコの分館にも所蔵されているようなので、次回また科研費が取れれば、次は米西海岸ですね。

 

公文書館が閉まる週末は、基本ホテルに引きこもって史料整理を行いましたが、初めて訪問したアフリカン・アメリカン歴史文化博物館は、圧巻の広さでした(他の博物館も広いけど)。

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訪問者も極めて多く、整理券がないとは入れません。近世期の展示では、左右の側に、それぞれアフリカの視点とヨーロッパの視点からの展示/説明を配置して、中央の柱に「アトランティックヒストリー」の視点で両側を結ぶという展示構成になっていて興味深ったです。他、アメリ黒人史を色取るさまざまな出来事や人物の説明で充実していました。前期の「西洋史史料講読という授業で学生達と読み進めた文献に頻出するベイヤード・ラスティンという黒人運動家(絶対的平和主義者で、1950年代初頭にデュボイスのストックホルムアピール署名活動を支えたり、60年代にはキング牧師を支える人物で、同性愛者であるということから「スキャンダル」にもなった人物)のパネルも大きく展示されていて、勉強・復習になりました(日本におけるアメリカ黒人史研究においては、恐らくはそこまでメジャーではなさそうです。勘違いだったらすいません💦)

 

ワシントンD.C.滞在中の食事は、シリアル(朝)、公文書館の食堂(昼)、コンビニか外食(夜)というパターンで、朝シリアルに変えたことで、前回滞在時(毎日朝マック)よりは節約できたものの、次回は自炊できる宿を探してみたいと思います。

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(アメリカ先住民博物館のフードコートの民族料理。クミンが効いてて美味かった…)
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(ペンタゴンシティ駅と連結するショッピングモール内のフードコートのアジア料理。鶏肉の味付けがちょっと甘めでした)

 

最後の写真は、ミュージアムショップ等でゲットしたお土産品です。来年のオープンキャンパスでの展示対策の一環です。高校生たちの興味関心をかきたてることができれば良いのですが。特にアメリカ・インディアン博物館で購入した「先住民族の権利に関する国連宣言」ポスターは私の研究室の入り口に貼っております。沖縄でアメリカ史を学ぶとはどういうことなのかを常に自分自身に問いかけていくつもりです。

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私は所詮ただの「虚仮」ですが、沖縄でアメリカ史/西洋史を学ぶことの意味を追求するという「一念」を貫いていきたいと思う次第です。

 

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来週12日〜14日は、宮古島ゼミ研修。それまでに滞っている各種仕事をなんとかこなしていきます💦