~<沖縄のなかの≪世界史>のなかの沖縄≫~

琉球大学西洋近現代史(池上大祐)研究室の教育・研究活動の記録ブログです。アメリカと太平洋島嶼地域との関係について、(脱)・(新)・(核の)植民地主義の観点から研究しています。また、沖縄で西洋史・世界史を学ぶ意義・方法について歴史教育実践を通じて追求していく予定です。なお本ブログの記事は、あくまでわたくし個人の意見であり、所属先の方針や考えを代表するものではありません。

新年度スタート

4月14日から今年度の西洋近現代史ゼミがはじまりました!

4年次が6名(うち1名が海外滞在中)、3年次5名の計11名。卒論の指導を進めながら、また今年も共同研究「沖縄のなかの世界史発掘プロジェクト」をやってみるつもりです。テーマも大切ですが、現地に行くというフィールドワークを重視しているので「沖縄県内で訪問してみたい地域」という観点からも、自由に学生たちと意見交換する予定です。

 

さっそく、4年生からは「石垣!」という声が・・・。検索してみると、「唐人墓」という、19世紀中頃に英国船で殺された「苦力」(中国人労働者)を弔った史跡があるそうな。人頭税廃止の記念碑もあり、琉球王府による八重山侵攻という過去もあるので、八重山芸能研究会というサークルに入っているゼミ生もいるし、石垣島は重要な候補地ですね(私もまだ行ったことがないっ。)

 

他の候補としては第一に「ジェンダーと暴力」関連。近年、戦時性暴力についての書籍(とくにミュールホイザー『戦場の性』、洪=(=は「王へんに允」)伸『沖縄戦場の記憶と「慰安婦」』(今度書評を書かせていただくことになっています)、『沖縄県史 女性史編』が刊行されていますし、上間陽子先生『裸足で逃げる』で描かれている、女性に対する暴力と「貧困」の構造を現代認識のベースとしながら展開できないかな、とイメージ中。宮古島に「慰安婦」に関する石碑はあるとのこと。しかし、材料は多そうなだけにテーマ設定をしっかりしないと、ただの概説で終わってしまう可能性もあり。

 

第二に「ハンセン病」関連。北部の屋我地島の愛楽園や宮古島に県内のハンセン病の歴史を知ることができる資料館があり、ハワイ・モロカイ島の収容施設と献身的な活動を展開したダミアン神父についての歴史との比較とかもありかな、と考えているが、関連する学術論文が少ないのがネック。なお、写真は2015年2月にハワイ調査にいったときに撮影したダミアン神父像。

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第三に「當山久三」と沖縄移民の歴史。ハワイ、南洋群島、南米への移民の多い沖縄県において「移民の父」と言われている當山久三のライフヒストリーを世界史の視点で追ってみるのも面白そう。沖縄の古書店で、當山久三関係の書籍をこういうときのために収集中。「移民研究」は私の所属する専攻内に研究室がある地理学分野で研究が盛んなので、地理と歴史のコラボ、という可能性もあるかも。ただ、彼の出身地が金武町なので、フィールドワークに行くにあたって、「近場過ぎておもしろくない・・・」と思われてしまうかも・・・。

 

・・・他方、自分の仕事としては、7月末までに、5本の原稿を書かねばらないという、詰む一歩手前の状況ですが、学生たちからパワーを分けてもらいながら(吸い取っていく学生も若干いるが・・・)、「元気玉」を連発しつつ、ゼミ運営や自分の仕事を乗り切っていきたいと思います・・・。できるかなぁ。