We shall overcome ☆沖縄からのグローカルヒストリー☆

琉球大学西洋近現代史研究室を担当する池上大祐の教育・研究活動ブログです。アメリカと太平洋島嶼地域との関係について、(脱)・(新)・(核の)植民地主義の観点から研究しています。また、沖縄で西洋史やグローカルヒストリーを学ぶ意義・方法について歴史教育実践を通じて追求していく予定です。なお本ブログの記事は、あくまでわたくし個人の意見であり、所属先の方針や考えを代表するものではありません。

卒論中間発表会

今日は西洋近現代史ゼミ4年次生の卒論中間発表会を行いました。

今日の報告者のテーマは、以下の通り。

・19世紀ロンドンの下層社会ーディケンズ、メイヒューの視点からー

戦間期アメリカの航空文化

・1960年代以降のハワイアン・ルネサンス

ゴルバチョフペレストロイカ

日本語の主要な研究書・論文は3年次の間にフォローし、柱となる洋書を3年次終了までに入手して、今、鋭意読解中という状況です。

卒論タイトルについては、これまでは基礎が大事ということで「〇〇年代◆◆における△△に関する一考察」というテンプレートに当てはめさせていましたが、これからは卒論の内容にマッチする「かっこいい」表題をつけてもらおうと思っています。学生たちも、表題にこだわりたい!と言ってて、テーマに対する愛着を感じることができて頼もしく思えました。

最終の正式な締め切りは1月半ば。それまでに草稿チェックや個別指導を行いながら、完成を目指していくことになります。4年間(+α)の集大成です。ぜひとも頑張ってほしいと思います!

 

    ☆   

 

気づけば、もう11月…。私も2月末までに3つの原稿を書かねばなりません。上原専禄論、安全保障と基地(政治学テキスト)、島嶼地域論(学内共同研究)。これに加えて自分の科研(2つ)の成果も出さないといけません。…私も頑張ろう。

 

『地域から考える世界史』(勉誠出版、2017年)近刊!

blog.livedoor.jp

 

10月末~11月初旬に『地域から考える世界史』(桃木至朗監修、藤村泰夫・岩下哲典編)がいよいよ刊行されます。

 

本書は、2007年からスタートした「地域から考える世界史」プロジェクト(代表・藤村泰夫先生)に結集する全国の歴史研究者・歴史教育者による、これまでの歴史実践の集大成です。私自身は本書には寄稿しておりませんが、編集担当のひとりとして末席に加えていただいております。

 

これから教員をめざす学生たちに、ぜひとも手に取っていただきたい作品です。自分たちが習ってきた方法を現場で再生産するだけでは、何も生まれません(これは大学教員も同じだと痛感しています)。本書をつうじて新しい方法や学説を摂取しつつ、「何を題材とすべきか」、「問いをどう設定するのか」ということを、常に考え続けることができるような教員になってほしい、というのが私の願いです。

 

学部改組に伴って、来年度から開講する講義科目「歴史総合」の内容を現在プランニング中ですが、本書も土台の一つにしたいと思っています。

 

  ☆

 

う~ん、クライマックスシリーズ第2ステージ、ホークス負けた。ただ、終盤に反撃もしているし、中継ぎもぴしゃっと抑えているので、きっと明日に活きると思います!

 

 

地理歴史人類学専攻課程⇒地域文化科学プログラム

www.grs.u-ryukyu.ac.jp

平成30年4月より、学部改組にともなう新学部がスタートします。

文科省から正式に認可をうけ、着々と準備が進められています。

 

現行 法文学部人間科学科地理歴史人類学専攻

 ↓

  国際地域創造学部国際地域創造学科地域文化科学プログラム

 

と、なります。

これまで培ってきた専門性に裏打ちされたカリキュラム体系を維持しつつ、他プログラム(経済、観光、経営、国際言語)の知見も摂取することで汎用性も育成していくことを主眼としています。本プログラムでは、これまでどおり、中学社会・高校地歴の教員免許、学芸員資格、GIS学術士の取得が可能です。

 

年次進行は大まかに以下のような流れとなります。

<1年次~2年次前期>幅広く複数分野の学問的基礎力を習得する。

※最初はプログラムに配属されないので進路選択や学修について不安なこともあるかもしれませんが、いわゆる「クラス担任制」(本学では「年次指導教員」という呼び方になっています)が整っており、いつでも相談できる仕組みになっております。何を学びたいのか、問題意識を鍛えておく大切な期間です。

 

<2年次後期~>所属するプログラムへの配属

※原則的には学生の希望に応じた配属になりますが、各プログラムの目安となる配属人数の上限を超える場合には、1年次~2年次前期までの成績によるセレクションが行われる予定です。

 

<3年次前期~>所属するプログラム内の各ゼミへの配属

歴史学、地理学、考古学、人類学、民俗学の各ゼミに所属し、卒業論文作成の準備がスタートします。いよいよ、本格的な専門的研究活動のスタートです。卒論執筆は、大変ですが、やりがいのある大きな作業です。学生のみなさんにとっては人生で最初の自分の「作品」となります。ぜひ、一緒にがんばりましょう!

どんな教員がいるのかは、以下を参照してください。

学科紹介 : 人間科学科 : 地理歴史人類学専攻課程 – 琉球大学 法文学部

 

高校生の方、読んでくれるかな・・・。

 

石垣島研修 with Typhoon ( 2017年9月12~14日)

先日、西洋史近現代史ゼミを中心として石垣島に行ってきました。

目的は、ロバート・バウン号事件(1852年)と八重山戦争マラリアのついての調査および史跡訪問です。

 

下の写真は、名蔵湾南側の岬にある「唐人墓」。ロバート・バウン号に乗っていた苦力(中国人労働者)たちが船内で反乱を起こして、石垣島に上陸したのち、この地で亡くなった128名を弔っている場所。1970年に石垣市と台湾の連携で、建立されたとのこと。

f:id:daimayhawks:20170917105040j:plain

f:id:daimayhawks:20170917105540j:plain

 

その唐人墓の傍らには、太平洋戦争中に日本軍が殺害した米軍捕虜の慰霊碑もあります。

f:id:daimayhawks:20170917110027j:plain

 

次に訪れたのは、バンナ公園内にある「八重山戦争マラリア犠牲者慰霊之碑」。この周辺には様々な戦友会の慰霊碑がありました。行ってみないとわからないものです。唐人墓も含めて、こうした記念碑建立=記憶化のプロセス自体も、分析対象になりそうです。

f:id:daimayhawks:20170917110323j:plain

他にも、石垣市八重山博物館、八重山平和祈念館を訪問しました。ちなみに、以下の写真は、石垣島ゆるキャラ「ぱいーぐる」。南(ぱい)と八重山の天然記念物のカンムリワシがモチーフのようです。

f:id:daimayhawks:20170917111445j:plain

 

初日の最後は、ホテル近くの「石垣島ヴィレッジ」の中の石垣島鶏のお店へ。観光地とあって少し割高でしたが、一本一本の焼き鳥はとてもおいしかったです。

f:id:daimayhawks:20170917112544j:plain

 

しかし、二日目の13日は台風の影響で一日中ホテル待機。他の多くのお客さんが雑談しているなか、ホテルのロビーでゼミを行いました(写真を撮り忘れた)。この日はみんなで買っておいたカップ麺や缶詰、そしてホテルからの無料配布されたカレーでしのぎました。

 

そして最終日には、ロバート・バウン号が沈没した崎枝湾、石垣―台湾をむすぶ電信所の跡地、ミンサー工芸品店を訪問しました。特に電信(海底ケーブル)の歴史は「地域」からグローバル・ヒストリーを描いていくための興味深い素材となりそうです。米軍による銃撃の跡も戦争の歴史を感じさせます。

f:id:daimayhawks:20170917113219j:plain

f:id:daimayhawks:20170917113302j:plain

 

最後に、せめてビーチには降り立ってみようということで、一枚。波は荒かったです。

f:id:daimayhawks:20170917113408j:plain

 

・・・という、台風に遭いながらも、充実した研修調査旅行でした。

ここでの経験を、今後のゼミ活動に活かしてほしいと願っています。

西洋史ゼミ・前期打ち上げ!

昨日は、ゼミの前期打ち上げ会でした!

安里界隈の中華居酒屋を学生が見つけてくれて、リーズナブルでかつおいしゅうこざいました(写真撮り忘れた・・・)。ただ、学生も琉大近辺、那覇界隈、中部、南部と居住地域がばらばらで、夜10時ごろには公共交通機関もほぼ使えない状況で、どこを会場にすべきかいつも迷います。今後は、車での移動も考えて、飲むことよりも旨いもんを食べにいく路線での企画もアリかなぁと思った次第です。

 

来月は、9月12日~14日は「石垣島のなかの世界史」発掘プロジェクトによる現地フィールドワークを予定しています。夏期休業中とはいえ、卒論や共同研究に向けた夏期課題もありますが、基本はときに羽を伸ばしてしっかりと充電してもらいたいと思います。

 

私は、残念ながら今夏は渡米する余裕がないので、粛々と自分の仕事をこなす日々になりそうです。

 

シンポジウム/研究会3DAYS

今週末は、シンポジウム/研究会3DAYS!

(1)グアム研究

7月22日(土)は、グアムから研究者を招へいしたシンポジウム。わたくしも参加している科研による企画です。登壇するわけではないのですが、全編英語なので、ある程度英語でちゃんと質問できるよう準備しておかねば。自分の科研でも、アメリカのグアム統治を研究しているので、それにも活かしたい。

f:id:daimayhawks:20170719021803j:plain

(2)アメリカ分析

7月23日(日)は、シンポジウム「トランプ政権180日と沖縄」でパネリストのひとりとして登壇します。私は「歴史的視点」からの考察を担当し、「歴史にみるトランプ政権―「ジャクソニアン」の系譜と「西漸運動」―」と題する報告を行います。実証研究の成果ではなく、あくまで考えるための一素材を提供する、というで未熟ながらも整理してみました。以下の琉球新報7月14日付けの文化面に、シンポの紹介文を書かせていただきました。

f:id:daimayhawks:20170719022227j:plain

琉球新報社からご提供いただきました。半年後に本写真は削除します。]

 

(3)歴史教育

7月24日は沖縄国際大学南島文化研究所主催の「シマ研究会」にて、コメンテイターとして登壇いたします。ここでは、歴史教育に関する自分の経験や考えをもとに、議論できればと思っています。

【南島研】第201回 シマ研究会「石垣市教育委員会副読本中止問題について」を開催いたします。|南島文化研究所 | 沖縄国際大学

 

それぞれ異なるテーマですが、「沖縄」という視点をもつことで、何かしら通底するものも見えてくるかもしれません。とにかくがんばります。

琉球大学オープンキャンパス (2017年7月15日)

www.u-ryukyu.ac.jp

 

7月15日(土)琉球大学オープンキャンパスが開催されます。

平成30年度からの学部改組に伴って、私の所属も以下のように変わる予定です。

 

 法文学部人間科学科地理歴史人類学専攻課程

 ↓

 国際地域創造学部国際地域創造学科地域文化科学プログラム(予定)

 

グローバル/ローカルな視点を兼ね備え、地域社会の課題解決にとりくめる人材育成をめざすというのが新学部の大まかなコンセプトです。観光、経営、経済、国際文化言語などの知見も複合的に摂取できる仕組みを新たに創るとともに、これまで旧「地理歴史人類学専攻課程」で培ってきた専門性の高い教育研究システムも、新「地域文化科学プログラム」でしっかりと維持しています。教員メンバーも変更ございません(教員と専門領域は以下を参照)。

学科紹介 : 人間科学科 : 地理歴史人類学専攻課程 – 琉球大学 法文学部

 

新プログラムでも、これまでどおり、以下の3つの学問領域を複合的にまなぶことができます(卒業論文はどれかひとつの分野を追究していくことになります)。

・地理学(人文地理学、自然地理学、地誌学)

歴史学(日本史、世界史[東洋史学、西洋史学])

・人類学(社会人類学、考古学、民俗学

◆取得可能な資格:教員免許(中学社会、高校地歴)、学芸員、GIS

 

ぜひ、オープンキャンパスをご活用ください!!

(高校生の方が本ブログみてるかどうかわかりませんが・・・。)