書評を書かせていただきました。
以下は、書けなかったことですが、歴史のなかにトランプを位置づけようとする試みは、氾濫するトランプ本とは一線を画す重要な仕事だと感じました。また、既存政治(エスタブリシュメント)に対抗しうる大統領像として、かつての「セルフメイドマン型」から「アウトサイダー型」へ変化した、という指摘も興味深いものでした。
その社会的背景が何なのか、色々と考えます。機会を与えられれば自助努力で成功をつかめる、といったサクセスストーリーが通用しないということをアメリカ社会は意識的にか無意識的にか気づいている証左なのでしょうか。これ以上膨らむ見込みのない経済の「定常化」によって否応なしに「パイを分け合う」ことになったときに、「われわれ」「あいつら」の境界線がかえって浮き彫りになっていくのだとすれば、「均等にたくさん分けすぎた」オバマへの反動が、トランプを押し上げたということになった、ということなのでしょうか(何の根拠もない思い付きですが・・・)。
昨日のCNNでは、トランプ大統領の今年の一般教書演説でもちきりでした。軍事力増強をうたったようですが、あくまで現在「好調」な軍需産業によって雇用をまもり、それを「同盟」国(特に日本はアメリカの言い値で買ってくれるカモ)が購入してくれることを期待しているのでしょう。実際の軍事介入の主体としても期待されているとすれば、武器は売れる、米兵は死なせずにすむ、というアメリカにとっては願ってもないスト―リーです。まだ一般教書演説を全文読んでないので、ちゃんとチェックしておこうと思います。