We shall overcome ☆沖縄からのグローカルヒストリー☆

琉球大学西洋近現代史研究室を担当する池上大祐の教育・研究活動ブログです。アメリカと太平洋島嶼地域との関係について、(脱)・(新)・(核の)植民地主義の観点から研究しています。また、沖縄で西洋史やグローカルヒストリーを学ぶ意義・方法について歴史教育実践を通じて追求していく予定です。なお本ブログの記事は、あくまでわたくし個人の意見であり、所属先の方針や考えを代表するものではありません。

共同研究スタート!

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今年のゼミによる共同研究(琉大の歴史)がスタートしました。昨日のゼミでは各自準備してもらった文献リストを発表しあい、どういう切り口がありえるかを考えてみました。私からのヒントもありつつも、いろんなキーワードを出し合った成果がこれです。詳しい方から見れば、「なぜ○○に触れない!?」と隔靴掻痒に感じるかもしれませんが、なんとかこれから発展できるよう支えていきたいとおもいます。…恥ずかしながら、琉大のすぐ近くの糸莆公園にまだ行ってない💦近日中、散歩がてら行ってみます。

  ⭐︎

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大学院の講義を受講しているマーシャル諸島出身の院生から民芸品を頂きました!マーシャル語で、“amimono"と言うそうです。2016年にグアムで開催された太平洋芸術祭にも関わったことがあるとのことを昨日の大学院講義でお聞きし、色々勉強になりました。

連帯

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Twitter上で開催の情報を得て、「Black Lives Matterに連帯する沖縄集会」@胡屋十字路に行ってきました。ゼミの終了時間がちょっと押したため、最後15分くらいの参加でしたが、数名のスピーチを聞くことができました。

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本土(九州)出身という身体と「原罪」を持ちつつ、かりゆしウェアを纏い、グアムの民芸ブレスレットを身につけ、ワシントンD.C.アメリカン・アフリカン歴史博物館で買ったトートバッグを下げての参加でした。ワナビーによる文化盗用ではないか、という批判をもしかすると受けるかもしれません。

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ただそれでも、せめて私が教育研究で関わってきた諸地域/主体間の連帯への意思を示し続けようと思っているところです。

 

 

ゼミ共同研究のテーマ決定☆「琉球大学の歴史」☆

2020年度の琉大西洋近現代史ゼミ共同研究「沖縄のなかの世界史発掘プロジェクト」のテーマが、今日のzoom会議で大まかに決定しました~!

琉球大学の歴史」!

灯台下暮らし。僕は全然思いつきませんでした。

今思えば、伏線はありました。先週のzoomゼミでは、首里城の歴史(再建をめぐる戦後史も含めて)が候補としてあがり、琉大も建学・移転でかかわる、ということは話題になっていました。

他には、宮古島民俗研究で成果をだしたニコライ・ネフスキー琉球方言(言語と文化)がキーワードとしてあがり、長崎出身の学生は「平和学習」という観点も勉強してみたい、との意見も出してくれていました。ただ、なかなかこれといった決定打(学生の反応)がなく、うーん、と行き詰った空気が漂いそうになったときに、・・・「琉大の歴史は?」というある学生の提案に、みんな「あ、それかも!」という表情になったことは、モニター上からもはっきり読み取れました。

戦跡、アメリカの文化戦略、2つの琉大事件、『琉大文学』、首里から西原町への移転、といった事例を深める方向性もあるし、「大学史」という観点から、沖縄における高等教育機関の歴史的位置づけもできるかもしれません。風樹館という博物館もあるので、「博学連携」(パブリック・ヒストリーの議論も踏まえつつ)の在り方を考えてみるなど、いろんな観点から派生できそうな気がしています。「琉球大学における西洋史学史」とかもアリか(いつか自分自身がやらねばならない仕事ではあるが)?

フィールドワークは学内でできそうなので遠出する必要はなさそうですが、その分、秋ごろに合宿形式でなんか面白いこともできればと思っています!

 ☆

ニコライ・ネフスキーも、いいかも・・・と思いましたが、どういう展開がありうるか、僕自身イメージがもてず。もともと宮古島方言や民謡とかを知っているとか、べ―スとなる知識や背景が必要な気がして・・・。ということで、これは温めておきます(加藤氏の『天の蛇』は買ってパラパラと目を通しました)。

 

★補足情報★

www.lib.u-ryukyu.ac.jp

 

大学図書館の図書貸し出しについて事前予約が必要ですが、学生による申請・受け取りが6月1日から可能になります。少しずつ、使えるようになってきました。

詳細は、上記サイトでご確認ください!

 

遠隔の工夫あれこれ

月曜日開講の「歴史総合」は今日で第6回目が終了。15-18世紀を「太平洋の「発見」・探検の時代」とし、大交易時代→海賊の時代→啓蒙の時代に輪切りしていくというもの。宗教改革にもフランス革命にも深くは触れない一方、ブーゲンヴィルとクックの航海にはめっちゃ触れるという思い切った構成にしていますが、万遍なく丁寧であればよいという訳でもないし、むしろ「何が触れられていないか」を学生本人に見つけてもらって、自由に「穴」を埋めもらえればOK、と割り切っています。

毎回、20〜30分あれば終える(であろう)「特定課題」というのも出しています。短い論説の要約や図式化、講義内容についての解釈、講義資料の年表に埋め込んだサイドストーリーの読み解きなどをやってもらっています。みんな、想定以上に頑張ってくれています。最近刊行された『論点・西洋史学』はその意味で非常に使いやすいですね。天佑とはこのことだ!というくらい遠隔授業で活用しています。

…その分、資料作りや録音作業でPCと向き合うことが多く、腰痛対策が喫緊の課題。ということで新ノートPCの他、このような台座を買いました。

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屈み込まず、作業できるので、とてもいいです!腰痛に負ケズ、色々思いついた工夫はどんどんトライしていこうと思います。

入校規制解除後も、ゼミや演習形式の授業もまだ遠隔限定なのですが、本を貸す、ちょっとした相談にのる、というのは僕の責任のもとで研究室ないし資料室で対応するようにしています。

 

⭐️

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…という方針の文脈から、4年次ゼミ生から個別の卒論の相談がある、ということで、そのアポの時間になったと思ったら、このような嬉しい不意打ちが!知ってるとは思ってなかったのでびっくり!三密にならぬよう最新の注意を払いつつ、祝っていただきました〜。幸先の良い42歳の幕開けです!

 

 

ゼミの本格始動ー祝⭐️新3年次の加入!

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在宅ワークが続いています。研究室から多くの本を持ち帰って講義準備をあれこれ試行錯誤中。入構禁止措置は5月20日までということで、少人数授業やゼミの対面式は順次復活できそうですが、研究室・資料室へのアクリル版の導入などの次の対策も講じないとなぁと考えているところです。

 

さて、今日から西洋近現代史ゼミが本格始動し、今年は4名の3年次が新たにゼミに加わりました!これまではメール指導で、本日はzoomゼミ。院生や上級生も含めてみんな不具合なく参加してくれて、久々に顔が見られて安心しました。3年次の卒論テーマの大枠はだいたい以下のようになりそうです。

・クレズマー音楽とソ連の(政治)文化ーショスタコーヴィッチとの関わり

・ナチズムと芸術の関係ー特に退廃芸術展について

ユダヤ人と日本との関係

アメリカの音楽劇(ミュージカル映画含む)の歴史と人種関係

具体的に方向性を絞っていく作業はこれからで、まずはそれぞれ手元にある基本文献を読み進めてもらい、閉鎖中の学生用研究資料室が使えるようになったら、そこにある各国の研究入門を各自6月のゼミ発表に向けて読んでもらう予定。私も文化史はそこまで詳しくないので、一緒に勉強するつもりで、サポートできればと思います。

あと今年も共同研究「沖縄のなかの世界史発掘プロジェクト」を継続します。5月のゼミはそのテーマ決めが中心ですね。今年は何を見つけてくれるか楽しみです。

 

  ⭐️

…このような状況なので、GW中ずっと悩んでいたのですが、かなり色んな面でリスクがあることから、今年度の在外研究による渡米は正式に断念しました。特段それ用の外部資金やファンドがあったわけではないので、手続き的に面倒なことはなく自分の判断。残念ですが、次の機会に賭けます。その分、手元にある史料でしっかり論文書いて、次の科研申請の構想を練り直したいと思います。

※「歴史総合」(旧カリの西洋史概論Ⅱ)の授業方法【最新版】

色々再検討して、以下のようにします。

初回〜第3回(4月13、20、27日)は、毎回講義開始時間前までに講義資料や課題論文をWebシステム上にアップし、学生はそれをダウンロードして課題をこなす、という方式にします。音声録音付きパワーポイントファイルの配布も考えたのですが、1年次が多く、おそらくネット環境、PCやタブレット端末およびofficeも整っていない学生が多いと予想されるので。まあ普段だと学内のパソコンコーナーをつかうことで補えたんだけど、今回はあくまで来学しなくてもよい方法が前提なので、原点回帰で、まずは本や論文を読みましょう、ということで。

第4回目(5月11日)以降は、通常の対面式講義に戻す予定。本当に戻せるか未知数ですが。

         ⭐️

完璧な方法は無理です。あくまで対処療法。しかし見方を変えれば、今起きている現象と社会状況そのものが教材です。10年後には教科書にも載ると思いますので、しっかり観察し、感染症と人類の関係とはどういうものか、社会とは何か、国家とは何か、なぜ差別が起きるのか、いろんなことを考えていく機会にしていきましょう!

 

私が担当する授業の対応方法について

この期に及んで何も意思決定できず、結局は学部等に丸投げする大学執行部と、何の独自の指針も出さないでいる国際地域創造学部の対応の遅さに正直呆れています…。

とはいえ、手をこまねくわけにはいかないので、学生のために何ができるか、自分で工夫したいと思います。

 

1、「歴史総合」(月曜日・2限)[併設する旧カリキュラムの「西洋史概論Ⅱ」も同様です]

・4月13日の初回は、教室に集まってもらうが、講義の進め方を記した説明文章の配布、追加登録/取り消しの押印だけで退席させる。

・5月末までは、以下のように進める。

 *毎週講義開始時間5分前までに、教員が録音音声付きパワーポイントスライドと講義レジュメをWebクラスで送付。

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(マイク買ったよ♪)

 

 *学生はデータをダウンロード(講義レジュメはできればプリントアウト)し、講義時間中に、音声に従いながら授業を受ける(場所は自宅でも良い)。

 *講義感想文(フォーマットあり)を講義時間終了後30分以内に、Webクラスで教員に送る。

・6月から状況を見て通常の対面式授業に戻す。

 

2、地域文化科学フィールドワークⅠ(火曜日・4限)

・私が担当する西洋近現代史グループでは初回のみ、教室に集まってもらい、精読する英語論文コピーの配布及び講義の進め方についての説明をする。

・5月末まで、対面式授業にせず、自宅学習とする。毎週約2ページずつの翻訳等の成果をWebクラスで教員に提出。適宜、Webクラスを活用して補足説明や訳の注意点を教員が送る。

・適宜、zoomの活用も視野に入れる。

・6月から状況を見て通常の対面式授業に戻す。

・夏期休業中に、沖縄県公文書館巡検を行う。

 

3、大学院の授業

1〜2名程度の少人数なので、「3密」にならない環境を整えた上で、通常どおり毎週行う。

 

4、ゼミ(ゼミ生には連絡済み)

・5月末までは個別対応。全員が集まって議論するスタイルはとらない。

・6月から状況を見て通常のゼミ形式に戻す。

・3年次ゼミ歓迎会は、収束した後に盛大に執り行う!(なんか贅沢したいですねっ!)

 

多少の修正・変更はあるかもしれませんが、原則この案でやってみようと思います!