先日、人生で初めて新聞の取材を受けました。
事前に最低限の準備はして(久保文明編『アメリカ外交の新潮流―リベラルから保守までー』財団法人日本国際問題研究所、2007年を慌てて読み返す等・・・)、いただく質問に対して、言葉を選び、考えをまとめ、あくまで歴史家として、緻密な政治分析というよりも、歴史的な経緯や流れを意識してコメントしてみたつもりです。
もっと理解を深めていくために、現在、渡辺将人著『アメリカ政治の壁ー利益と理念の狭間で』岩波書店、2016年を読んでいるところです(以前、私が『西洋史学論集』にて「新刊紹介」で取り上げた『アメリカ西漸史』の翻訳者)。政権運営や選挙の勝敗は、「玉」(資質)・「風」(外在的な環境)・「技」(周囲の人材)の要因できまるという著者独自の整理や、「利益の民主政」・「利益の民主政」という砂田一郎氏の図式の援用を通じて、分かりやすく現状を分析しています。選挙当日前に読んでおきたかったと少し後悔していますが、それでも学ぶことは多いです。
私にとってのアメリカ史研究は、決してアメリカを代弁するためのものではなく、上原專祿が言うように、自分の生活する拠点(=地域)に立脚して、現代認識を鍛えあげるための手段のつもりです。この視点は、世界史のなかに「アジア(日本、沖縄含む)」や「島嶼地域」をきちんと組み込んでいくという認識の在り方にも関わると思っています。
グローバルな新自由主義的資本の「暴力」とそれに抗う排外主義的な「暴力」の間隙をぬって、新たな対抗措置を生み出すための知恵が、まさに今必要とされているのかもしれません。