先日の西洋近現代史ゼミで、昨年秋から始動した現4年生(3名)からなる共同研究チームの研究発表会を行いました。
テーマは、「歴史のなかの新聞」。開始時に、私から提示したジェンダー、戦争、衣服、食、貧困などのキーワードのなかから、学生自身が「新聞」を選択。「新聞」を共通テーマにして、それぞれ卒論で扱おうとしている時代や地域にひきつけて関連論文を読んでもらい、論理を組み立ててもらうという方針で開始しました。全体の筋道を立てるために、佐藤卓己先生の『現代メディア史』の第1~4章もしっかりと読んでもらい、それも適宜、内容に組み込ませました。
結果的に、地域はドイツ・イギリス・フランス、時代は17世紀から19世紀末までと、あまりにも広い範囲を扱うことになってしまい、論点が拡散・希薄化してしまったことは否めないのですが、あくまで卒論のモチベーションを高めるために導入してみた実践であり、専門性よりも、きちんとひとつの「共同作品」をつくることそのものに重きを置いて進めてまいりました。
それでも、なんとかがんばって、ストーリーを組み立ててしっかり発表していました。聴衆の2、3年生も積極的に質問してくれて、報告25分・質疑40分の充実した発表会になりました。発表を終えた学生からも、もっと事前の打ち合わせをするべきだった、とか、「おわりに」をまとめるときに、次々と課題や論点が浮き上がってくる、とか、地域や時代をもっとしぼったほうがよかった、などの感想も出してくれて、それなりによい経験になったようです。
疑問に思ったことを、文献を通じて自ら調べる、という当たり前の営みを日常的に行ってもらうための壮大な「遠回り」を、専門性もさらに磨きながら、今後も継続していくつもりです。