日本学術会議が、提言「「歴史総合」に期待されるもの」を5月16日に公表しました。
「世界史」と「日本史」を融合させた新科目の設定が現在文科省で議論されており、わたくしも参加している「高大連携歴史教育研究会」でも、その内容構成、入試方法、教員養成のあり方などについての検討を進めています。
提言の骨子は主に6つ。
(1)時系列にそった主題学習
(2)15~16世紀以降の近現代中心
(3)世界と日本を結びつける
(4)能動的に歴史を学ぶ力を身につける
(5)教員養成と現職研修の重要性
(6)大学入試改革と「歴史総合」
今、教員を目指している学生は、この動きをしっかりフォローしないと、実際に将来教壇にたつときに、「新科目って何?」ということになるのは必至。しかし、もっとも緊急を要するのは、教員養成に携わっている大学教員自身が、このような動きをしっかりと理解すること。大学でできること/やるべきことを、戦略的に前倒して、体系的に取り組んでいかないと、教員養成課程の存在意義にもかかわってくることでしょう。
また、特に(4)を教育現場で体系化するには、フィールドワークの実施や、展示史料の活用など、地元の博物館・資料館・自治体との連携もきわめて重要になる。したがって、学芸員志望者も、この「歴史総合」の視点をしっかりと理解することが求められる(かもしれない)。地域の文化資源(=観光資源)の発掘という観点では、公務員志望者も、そのスキルを必要とするでしょう。
その準備のためにも、現在申請中の学内教育経費「沖縄のなかの世界史」創成プロジェクト(略称)が、採択されれば良いのだが・・・。