We shall overcome ☆沖縄からのグローカルヒストリー☆

琉球大学西洋近現代史研究室を担当する池上大祐の教育・研究活動ブログです。アメリカと太平洋島嶼地域との関係について、(脱)・(新)・(核の)植民地主義の観点から研究しています。また、沖縄で西洋史やグローカルヒストリーを学ぶ意義・方法について歴史教育実践を通じて追求していく予定です。なお本ブログの記事は、あくまでわたくし個人の意見であり、所属先の方針や考えを代表するものではありません。

私が担当する授業の対応方法について

この期に及んで何も意思決定できず、結局は学部等に丸投げする大学執行部と、何の独自の指針も出さないでいる国際地域創造学部の対応の遅さに正直呆れています…。

とはいえ、手をこまねくわけにはいかないので、学生のために何ができるか、自分で工夫したいと思います。

 

1、「歴史総合」(月曜日・2限)[併設する旧カリキュラムの「西洋史概論Ⅱ」も同様です]

・4月13日の初回は、教室に集まってもらうが、講義の進め方を記した説明文章の配布、追加登録/取り消しの押印だけで退席させる。

・5月末までは、以下のように進める。

 *毎週講義開始時間5分前までに、教員が録音音声付きパワーポイントスライドと講義レジュメをWebクラスで送付。

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(マイク買ったよ♪)

 

 *学生はデータをダウンロード(講義レジュメはできればプリントアウト)し、講義時間中に、音声に従いながら授業を受ける(場所は自宅でも良い)。

 *講義感想文(フォーマットあり)を講義時間終了後30分以内に、Webクラスで教員に送る。

・6月から状況を見て通常の対面式授業に戻す。

 

2、地域文化科学フィールドワークⅠ(火曜日・4限)

・私が担当する西洋近現代史グループでは初回のみ、教室に集まってもらい、精読する英語論文コピーの配布及び講義の進め方についての説明をする。

・5月末まで、対面式授業にせず、自宅学習とする。毎週約2ページずつの翻訳等の成果をWebクラスで教員に提出。適宜、Webクラスを活用して補足説明や訳の注意点を教員が送る。

・適宜、zoomの活用も視野に入れる。

・6月から状況を見て通常の対面式授業に戻す。

・夏期休業中に、沖縄県公文書館巡検を行う。

 

3、大学院の授業

1〜2名程度の少人数なので、「3密」にならない環境を整えた上で、通常どおり毎週行う。

 

4、ゼミ(ゼミ生には連絡済み)

・5月末までは個別対応。全員が集まって議論するスタイルはとらない。

・6月から状況を見て通常のゼミ形式に戻す。

・3年次ゼミ歓迎会は、収束した後に盛大に執り行う!(なんか贅沢したいですねっ!)

 

多少の修正・変更はあるかもしれませんが、原則この案でやってみようと思います!

 

💐学位授与式&茶話会💐

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今日は、2つある西洋史研究室合同(少人数)での「学位授与式」&茶話会を執り行いました(色々私のゼミ運営でお世話になった東洋史の修了生も!)。教員から手渡しする『西洋史ゼミ論集』第5号には、私からの卒業生へのメッセージとして「山川異域 風月同天」という言葉を送りました。2月にちょっと話題になりましたね。バラバラだけど繋がっているという「他者との共生」を今後の生活の中で実践してほしい、ということをうだうだと書きました。

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花💐は、やっぱりそこにあるだけでもいいものですね。ケーキと合います(食べかけですいません…)。イレギュラーな緊急措置ではありましたが、こじんまりと談笑しつつの会でそれはそれで良かったのでは、と思っています。

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あと、卒業生から頂き物(エコブロック)も!研究室から臨む空と海をバックに。

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これでひとつの区切り。

皆、沖縄県内で活躍されるとのことですので、またの再会を楽しみにしております!

We shall overcome! 

 

 

西洋史研究報告会が無事終了⭐️

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昨日・一昨日は西洋史研究報告会でした。質疑応答の時間もしっかり取ったので両日とも朝10時から午後6時半ごろまで。4年次・研究生は卒論あるいはミニ論文という集大成を、3年次・M1は卒論進捗具合を、2年次は現時点で関心のあるテーマを報告してもらいました。

4年次の卒論は、ローマ帝国の対キリスト教政策、ヴェネツィアの経済政策、ハワイの日本人学校問題、ルワンダブルンジエスニシティと暴力。なんとか先行研究の穴を見出して(=自分なりの問いを見出して)論証するということと格闘してきたことがよく伝わりました。

3年次は、スペインの聖ヤコブ崇敬、ドイツもの「過去の克服」、アメリカのストーンウォールの反乱。進捗の差はあれど、総じて日本語で読める文献をほぼ抑え、その限界性をきちんと把握できているように感じました。次はいよいよ洋書読解の本格スタートです。

2年次は、大まかに言えば今のところ、救貧、ペスト、美術、ミュージカル(演劇)、ユダヤ文化、ロシアの音楽。やりたいこととやれることとのズレがあるという厳しい現実と必死に戦っているのがよく伝わりました。引き続き頑張って、これだ!というテーマを見つけてほしいです(「見つける」というより「育てる」が適切かも)。

研究生は、米統治下沖縄のキャラウェイ旋風。色々あって一旦は就職を目指すことになったけど、研究室の門戸はいつでも開いています。まさにオープン・ドア・ポリシー!

院生は、ヴァイマル期の青年保守派メラー。ドイツ語も頑張っています(今もドイツ経済史の同僚に見ていただいており、本当にありがたいです)。

 

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で、その打ち上げは、肉!しっかり向き合ってきました。

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研究室での研究成果はいわば、うなぎ屋の「タレ」のようなもので、世代交代を経ながら、知が「継ぎ足されていく」ものなのでしょう。来年度は琉大に来て6年目。老舗の味わいにはまだまだ程遠いのですが、私ももっと研鑽を積んで、ゼミ生の可能性を少しでも広げることができればと思っています!

( ̄^ ̄)ゞ

 

2019年度西洋史研究報告会のお知らせ

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来週の2月18日-19日に琉大西洋史研究室による研究報告会を開催します!地域文化科学プログラムへの配属希望の国創1年次で特に西洋史にご関心のある方はぜひいらしてください。出入り自由です。「歴史総合」講義最終日でチラシを配りそこねたのでこの場を借りて(まあ本ブログの存在を知らないでしょうけど…)。

もし高校生の方で、将来進学をお考えの方は、琉大にこういうイベントがあるってことを知っていただいて、今後の進路選択のご参考になればと思います。

 

ゼミ・オリエンテーションの季節

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3年次からゼミ配属を希望する現二年次へのゼミ・オリエンテーションを先程行ないました。全員見事に文化史系。音楽史、演劇史、美術史、宗教史に関わりそうなことへの関心が高いようです。

今後、どんな文献や具体的テーマを見つけてくれるのか、楽しみです!

文化史はあまり詳しくないので、その分こちらも予習を頑張らねば…。

異質だからこそ連帯する

昨日、高大連携歴史教育研究会第二部会研究会@日本大学に参加しました。第二部会で運営している「教材共有サイト」の利活用の現状と課題について議論するというのが趣旨。

高校の現場から、卓越した実践例とそれを支える教育学的知見が披露され、大いに勉強になりました。無意識に講義内で思いつきで工夫してきたことを、概念化してくれたことも多々あり、社会科教育学という分野の意義を大いに感じることができました。

ただ、そう感じれば感じるほど、私が専門としている歴史学という分野との「違い」があまりに大きいということも自覚させられました。私には教育学の観点からの分析やコメントは、物理学について求めらることと同様にもはや不可能である、ということも決定的に認識させられました。

したがって「歴史教育」という概念も正直分からなくなってきました。「大学教育」(高等教育)とは何が、という教育学的研究テーマはありそうな気もしますが、その存在を全く意識せずに、あくまで「歴史学の方法論を身につけて卒論を書くという知的営み」を学生に実践してもらうための措置全般が、私にとっての「歴史教育」です。史料を読む前と読んだ後で学生の学びがどう変化したのか、というのは本来的には「どうでもよい」ことで、その史料の解釈の妥当性や論理への組み込み方の「結果」についてあーだこーだ議論していく、というのが研究室での実践です。ただ、教員養成課程に関わっている以上、最低限の中等教育機関の現場で求められるスキルや知識を身につけてもらうことも考えてきたつもりですが、所詮は付け焼き刃なのはいうまでもありません。

では、昨日の議論を私がどう活かすか。高校の先生の真似事をしても太刀打ちできないという事実を受け止め、自分に何ができるかを再考せねばなりません。講義資料をそのまま共有サイトにアップするというよりもむしろ、講義資料を作成する中で使用した地図、史料、写真などを取り上げてその「選定理由」を解説したものを共有してもらう、ということを思い付きました。自分が講義で説明する事柄を支える「地図」等の資料選定は、けっこう時間をかけています。そうした小さな実践が、現場での教材作成に寄与できるかもしれません。そうした要望も昨日の質疑でも多く寄せられていましたし。

試しにいくつか作ってみたいと思います。

 

 ⭐️

SNSでは、在外研究に備えて英語で頑張りますが、もっと言いたいことがある場合にはブログで日本語で書いていくようにします。本当は全て英語…といきたいところですが、母国語力も重要だ、という言い訳を…。

 

2020年の研究活動についての抱負

2020年になりました。秋には米大統領選が控えるなか、イラン革命防衛軍の司令官をアメリカが殺害するというニュースが飛び込み、幸先悪いスタートになったようです。年末に「情報収集」の名の下で中東海域への自衛隊派遣を決めたばかりの安倍は、今回の件についてノーコメントという相変わらずの無策ぶりを発揮。「無責任体制」は絶望的にも今年も続くようです。必ず叩き潰さねばなりません。

 

今年は、私にとっては英会話力が試される一年になりそうです。4月末には、A・G・ホプキンズ先生の来沖の窓口役を担当する予定。6月にはカナダのニューファウンドランド島での国際島嶼学会で報告する予定。8月後半から翌1月半ばまで在外研究でワシントンD.C.滞在(またグアムと迷い始めたが…)を計画中。継続している週一回の英会話レッスンをもっと効果的にするために、自主レッスンもきちんとやろうと思います。

 

今年は、徹底してグアム研究(米軍基地拡張の歴史、第二次大戦の記憶研究)に没頭し、その範囲内で、島嶼とは何か、アメリカ帝国とは何か、基地のある社会が抱える共通の課題とその解決方法をどう見出すのか、歴史教育の現場でどう共有化ができるのか、といったことを考えていく一年にします。次の単著を出すための土台をしっかり作っていきたいです。

 

また1月末には、年末に同僚からお声かけいただいた縁で、沖縄戦若手研究会の勉強会に出席する機会もいただきました。地域(生活拠点)の歴史を考える場にも参与できることを嬉しく思うと同時に、しっかり勉強しなければ、と決意新たにする次第です。

 

今年もよろしくお願いいたします。