We shall overcome ☆沖縄からのグローカルヒストリー☆

琉球大学西洋近現代史研究室を担当する池上大祐の教育・研究活動ブログです。アメリカと太平洋島嶼地域との関係について、(脱)・(新)・(核の)植民地主義の観点から研究しています。また、沖縄で西洋史やグローカルヒストリーを学ぶ意義・方法について歴史教育実践を通じて追求していく予定です。なお本ブログの記事は、あくまでわたくし個人の意見であり、所属先の方針や考えを代表するものではありません。

明日から京都!

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先日、同僚の日本史の先生から梨を頂きましたー。

レポート採点や事務仕事の合間に研究室でさばいてさっそく食しました。瑞々しくて、爽やかな気分になれました!

 

さて明日から6日まで歴史教育者協議会京都大会に参加し、最新の歴史教育実践を学んできます。特に「歴史総合」を意識した実践がいくつかあるので、色々吸収したいと思います。ただ、沖縄よりも断然暑いようなので、その対策も考えねば。

 

10月には、沖縄教研集会で、ゼミでやっている共同研究について報告させていただくことに。「高大連携歴史教育研究会」についてももっと沖縄で広めていきたいという野心もあり、どんどんアピールしていこうと思います!

 

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(おまけ)ここ最近の昼食はこれ。カツカレーは3分で食べ終わるのに、このシリアルは10分くらいかかります。普段いかに噛んでないかよくわかります。今月後半の渡米の際も、基本はこれにするつもりです。CVS(アメリカのコンビニ)でもよく売ってますし。

◆2018年度琉球大学オープンキャンパス・地域文化科学プログラムのご案内◆

www.u-ryukyu.ac.jp

明日、7月14日(土)は琉球大学オープンキャンパスです。

多くの高校生のご参加をお待ちしております!

 

☆高等学校の地理歴史、中学社会の教員を目指す方!

学芸員をとって、文化財行政に携わりたい方!

☆地理学・歴史学・考古学・人類学・民俗学を専門的に貫いてみたい方!

☆課題を発見し、それの解決に向けた調査方法のノウハウを学びたい方!

琉球大学

   ⇒国際地域創造学部

      ⇒「地域文化科学プログラム」へ

         (旧・地理歴史人類学専攻課程)

私は当日、「歴史学サロン」でみなさんに歴史学分野(+西洋史学)について説明いたします!以下はスライドの表紙です。先取りして公開します!

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琉大オープンキャンパス2018 地域文化科学プログラム「歴史サロン」

 

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私も高校生のときにはご多聞にもれず、目標を見失い、進路に随分と悩みました(高2のときは文系250人中240番前後の成績でした)。それでも、大学で歴史を勉強したいという原点に戻り、なんとか受験を乗り切ることがなんとかできました。「好きなこと」を貫く楽しさ(もちろん辛いこともあります)を、ぜひ将来みなさんと共有していきたいと思っています!

西洋史ゼミ共同研究2018年ー宮古島における「久松五勇士」について

今年も、西洋史近現代史ゼミでは、学生たちによる共同研究「沖縄のなかの世界史発掘プロジェクト」を行います。今年のテーマは、宮古島の「久松五勇士」です。

1905年の日露戦争時に、バルチック艦隊を発見した宮古島久松の5人漁師たちがその情報を電信基地のある石垣島に伝えるために、サバニ(小舟)で「勇敢」に向かったという事実が、1930年代、1960年代、1980年代に宮古・沖縄・日本でどう語られてきたのかを主軸に研究していく予定です。

1930年代の学校教育にみられる典型的な「愛国美談」の一例としても位置付けられ、2年前の共同研究テーマである「宮古島民ドイツ商船員の救助の博愛美談化」とも連動する興味深いテーマになりそうです。沖縄出身の学生たちのなかでも、昔聞いたことがある・・・という程度の認知度でしかなく、教員を目指すゼミ生にとっても重要な教材研究の一環にもなるのではないかと思っています。

世界史とつなぐための方法としては、19・20世紀転換期におけるグローバルな電信網の構築や日露関係史をも紐解いてみたいと考えているところです(どうつながるかはまだ先が読めていませんが・・・)。

今日のゼミでは、琉大図書館で文献リサーチを行いました。今後はビブリオを作成したり、基本となる論文を読んだりしながら、内容を詰めていきます。9月にはゼミ生たちと宮古島に行き、実際に現場の空気を吸いながら、フィールワークを行う予定です。

今年こそ台風が来ないことを祈っています・・・。

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宮古島にはトゥクトゥクのレンタルもあって普通免許で運転可能なようなので、せっかくなので乗ってみたいですね。こういうレジャー要素も入れながら、メリハリのある共同研究活動になればと思っています。

済州島滞在記

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5月11日に済州大学での研究報告を無事終えて、昨日12日は、済州大学の先生ご夫妻のご好意で、済州島西部の旧日本軍関連戦跡にご案内していただきました。本当にありがたかったです。

西南部区域には1930年代から日本軍飛行場(「アルトゥル飛行場)が建設され、日中戦争時の南京への渡洋爆撃拠点のひとつとして利用されたという歴史がある場所です。

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周辺には多くの掩体壕が残存しており、そのうちのひとつには、ゼロ戦を模した芸術作品も展示されて、「過去に学ぶ」という共通した内容のメッセージ入りタグが括られていました。この付近には日本軍通信施設も残っていました。

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また、このあたりでは「四・三事件」による住民虐殺も行われた場所でその鎮魂碑も建立されていました。重い歴史が埋め込まれています。

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次に訪問したのは、海岸線に8箇所ほどあるという「陣地洞窟」です。大戦末期に日本軍が武器等の物資を貯蔵するために緊急に作ったもので完成を見ずに敗戦となったとのことです。

以下の写真は南西端の陣地洞窟。ドラマ「チャングム」のロケ地にもなった場所です。残念ながら、最近になって洞窟は立ち入り禁止になったようで中までは見れませんでした。

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以下3枚の写真は少し北上した西端部付近の陣地洞窟に向けて無線で命令を発信する司令部跡です。

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この辺りはイカで有名な漁港が近くにあり、遊歩道も整備されたトレッキングコースとしても観光客に人気の場所のようですが、ここにもひっそりと、戦争の傷跡が残っていました。

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軍事基地あるいは戦争を小さな島から考察するという視点は、おとといの学術研究会「東アジアにおける島、軍事基地、コモンズ」でも共有されていたテーマで、この済州島滞在中に私は、多くのことを学べました。一見、本研究会は、私の専門分野のアメリカ史研究とは無関係に思えるかもしれませんが、「島/地方/緩衝地域に生きる」という現実や問題意識に裏打ちされた、ほかの皆さんの研究活動に私は心から共感しました。太平洋島嶼現代史家という自己認識をはやく打ち立てて、私にとっての沖縄での現代史研究をもっと洗練させていきたいと思います。

 

 

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済州島での食事、どれも美味しゅうございました!

以下は、済州大学学食ランチと、昨日の夕飯時にドキドキしながら行った地元の麺料理屋の麺(料理名は忘れました…)。

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今から帰国です。ルートは済州島→釜山→福岡→沖縄。乗り継ぎ時間がいびつで、沖縄到着は午後10時過ぎ。着いたら、明日の講義準備です…。

「地域と世界史をつなぐー琉球・沖縄の視点からー」(研究会企画)

今夏までに新しく設立される予定の研究会の6月例会企画立案を、今年の3月ごろにおおせつかり、ずっと暗躍しておりました。このたび、プログラムが完成!

「地域と世界史をつなぐー琉球・沖縄の視点からー」

と題する企画です。

歴史実践―教育・研究・展示ーを最前線で日々に担ってらっしゃる3名の方々にご登壇いただき、地域が持つ豊かな文化資源、歴史資源をどのように実践で活かし、来たる「歴史総合」なる新設科目も視野にいれながら、どう「世界史」とつなげていけるのか、という点をみなさんで議論しながら、共有していきたいと思っております。

 

私が関わっている「地域から考える世界史」プロジェクトや高大連携歴史教育研究会でも、ここでの議論をしっかりと共有し、新しい歴史教育のあり方を模索していければと考えているところです。

※詳細は下記にて(PDF版のダウンロードは下記URLへ)

琉球・沖縄史研究会(仮称)6月例会企画完成版.pdf - Google ドライブ

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2018年度☆西洋近現代史ゼミ開始!

今日から、西洋近現代史ゼミがはじまりました。

3名の新3年次が仲間入りです。着任時(2015年)の4年次を第1期とすると、いわゆる第5期メンバーですね。なんだかんだでここまで重ねてきました。

入学年度はバラバラなメンバーですが、共同研究を含めたゼミ活動を通じて、彼らなりの「コミュニティ/居場所」をつくってほしいと思っています。

 

現時点での彼らの問題関心は以下の通りです。

・アメリカにおける学校教育と日系移民(あるいは黒人)との関係

モルモン教を軸としたアメリカ宗教史(19世紀の第二次覚醒の文脈か、戦後沖縄におけるキリスト教実践活動の文脈か)

・ジェノサイドの歴史的起源(地域は、ルアンダユーゴスラヴィア

色々と可能性をさぐる段階なので、変わるかもしれませんが、大まかにはこのような感じです。文献リスト⇒概説⇒研究史の順番で、整理してもらおうと考えているところです。

 

共同研究も、今年はどうするのか(宮古島石垣島⇒?)、色々と議論していきたいと思います。今年こそ、台風と重ならないようにしたいところです・・・。

 

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原稿締切に追われ過ぎて、「できる範囲内でいいや」と割り切った考え方をもたないと身が持たない状況です。科研を含む3つのファンド付きプロジェクトの最終年度がすべて今年度・・・。4月末に2つ、5月7日に1つ、5月21日に1つ、6月半ばに1つはマスト。あと自分の自由意志で、5月末、7月初旬、7月中旬に論文(専門的な雑誌2、学際的な雑誌1)を投稿する予定。本当はじっくり煮詰めて全国誌で勝負したいけど、諸事情で今年は「数」で勝負。疲弊する国立大学の現状に合わせて、成果を出さざるを得ないので・・・。

ただ、私のような凡人は、とにかく書きまくることが大事かなとも思っている次第。

所属名の変更

いよいよ新年度です。

学部改組に伴い、今年から私の所属が「国際地域創造学部 地域文化科学プログラム」になりました。でも特段、やるべきことは変わりません。今年も西洋史研究室をしっかりと盛り上げて、学びの場を作っていけたらと思います。

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写真は、研究室から臨める宜野湾。